ショパンコンクールにおけるヤマハの躍進
ピアノコンクールの最高峰、ショパンコンクール
ショパンコンクールをご存知ですか?こちら、世界中に色々とあるピアノコンクールの中でも最高峰のものです。
優勝者にはCDデビューや世界中での演奏旅行といった多くの栄光が待ち受けており、プロピアニストとしての将来が約束されます。
ショパンコンクールは、ポーランドの首都ワルシャワで5年に1度開催されています。作曲家であり名ピアニストとして知られたショパンの名が冠されている通り、コンクールにおいて演奏が許されるのはショパンの楽曲のみとなっています。
ショパンコンクールは5年に1度しか開催されず、審査員の判断により第1位が空席となる場合もあるため、優勝するのはオリンピックで金メダルを獲得することよりも困難です。1970年の第八回大会で内田光子さんが第二位に輝いたのが日本人の最高位となっており、未だ日本人の優勝者は誕生していません。
ショパンコンクールはピアノメーカーの戦いでもある
このようにショパンコンクールはピアニストの頂点を競う最高の舞台ですが、ピアノメーカーの戦いの場でもあります。
ショパンコンクールでは大会の公式ピアノが複数のメーカーより選定されており、大会に臨むピアニストたちが好みのピアノを選択するようになっています。
ピアニストたちが多く選択するピアノメーカーでは、優れた品質をもつピアノメーカーとしてのお墨付きを得ることができ、公式ピアノとして選定されるために楽器メーカー各社はしのぎを削っています。
1927年の第1回大会から公式ピアノとして選定され続けているのは米国のピアノメーカー、スタインウェイです。
2015年に行なわれた第17回大会では、スタインウェイ(米国)、ファツィオリ(イタリア)、ヤマハ(日本)、カワイ(日本)の4社のピアノメーカーが公式ピアノに選定されています。
ファイナルに進出したヤマハの躍進
ショパンコンクールの参加者の多くは、スタインウェイのピアノを選択することが多くなっていました。ヤマハは1985年の第11回大会より公式ピアノとして選定されていたものの、予選、本選ともにヤマハのピアノを選択する参加者はほとんどいませんでした。
そのようなヤマハの劣勢は21世紀に入ると徐々に覆され始めます。ヤマハの華やかな音質が若手ピアニストたちに認められ、ヤマハを使用する参加者が増加したのです。
2015年の第17大会ではファイナルに進出したファイナリスト10人のうち、ヤマハが7人、スタインウェイが3人と、ヤマハ選択者が初めてスタインウェイを上回りました。
残念ながら優勝者のチョ・ソンジン(韓国)はスタインウェイを選択していたため、ヤマハ使用者から優勝者を出すことはできませんでした。しかし近いうちにヤマハ使用者から優勝者が誕生し、品質においてもヤマハが世界一にあることを示す日が訪れるのは間違いありません。