幼き日の気まぐれで始めたピアノが、人生を明るくしてくれました。
小学校に上がった頃、特に興味があったわけでもないのですが、上の兄弟の真似をするという下の子の心理からか、姉と同じ個人レッスンのピアノ教室に通い始めました。
先生の家の一室がレッスン用の部屋になっており、週に一回通っていました。
小さな頃から怠け者だった私は、いざ通い始めると、練習が嫌だったり、できなくて鍵盤を叩いてベソをかくような始末だったので、なかなか曲も覚えず、上手に弾けませんでした。
でも、一個だけ得意な事がありました。なぜか、私は音感が良かったのです。
先生が3つ4つ程度の和音を弾いて、「これは何と何の音?」と聞かれると、即答ができました。
私の感覚としては、習っているのだから当たり前だと思っていたのですが、母も姉も、レッスンの次の番で後ろで待ってた子も、みんな凄いとほめてくれました。
ですが、それで得意気になり、練習に励む事もなく、レッスンをすっぽかしてしまうほど、友達と公園で遊んだり、家での練習も数分程度で母親の叱責を受けながらピアノの前から逃げ出したりとしていました。
小学校5年生の頃に、学校の学芸会で、ピアノ担当に選ばれましたが、全然覚えられず、他の上手い子に代わってもらいました。
練習が嫌いだったので、当然ですが、その時点で私は完全に苦手意識を持ってしまい、さらにピアノが嫌いになり、
小学校5年生いっぱいで、中学受験などを理由にして、ピアノを辞めてしまいました。
それから、中学校にあがりました。
趣味も特技もないため、友達はあまりいませんでした。
ですが、3年生までは音楽の授業がありました。
男子校だったので、ちょっとピアノがひけるだけ、ちょっと楽譜が読めるだけで、音楽の時間だけはみんなに褒められました。
勉強も運動も苦手でしたが、井の中の蛙ですが、そこだけは自慢できました。
でも、音楽の授業以外では何の取り柄もなく、やりたいことも趣味もなく、中学時代を過ごしていました。
ですが、中学生といえば、年頃なので、バンドに憧れる人が増えてきます。
周りの進んだ友人などは、いち早くギターなどを買い、髪の毛を伸ばし始めていました。
そこで、バンド好きな人と仲良くなり、たまにギターを触らせてもらうようになりました。
元々ちょっとですが、楽譜が読め、音感があったため、初心者の友人は、ギターを弾いた事のない私でもとても下手っぴに見えました。
中学校3年生の時、意を決して、お年玉でギターを買いました。
それから高校にあがり、軽音楽部に入り、文化祭で演奏をし、3年製の時には部長になりました。
大学生になってからはライブハウスに出演するようになり、20代にはCDも出し、インディーズですが、店頭に並びました。
相変わらず、勉強も運動も苦手でした。他に取り柄はありませんでした。
現在、30代になっても、ライブハウスに出演しています。
プロでは全然ないですが、音楽のおかげで良い出会いもたくさんあります。
小学生の頃、姉の真似をして、ピアノを習いたいと言った自分に感謝しています。