ピアノ教室の苦い思い出

小学校低学年の頃に、祖父がピアノを買ってくれました。
将来、姉と私がピアニストになってほしいと思っていたようです。

私はその頃ピアノが大好きでした。平日学校から帰ってきてからピアノを弾き、休日は好きな時間に弾き、趣味程度に弾いていたのでとても楽しい時間を過ごしていました。
夜は近所迷惑にならないように音を小さくして弾いていたのを覚えています。

母に勧められて、姉と私はピアノ教室に通うようになりました。
姉は書道教室にも通っていましたが、私にとって初めての習い事でした。

小学校高学年の頃には吹奏楽部にも入っていたので、部活との両立は少し大変でした。ピアノ教室の先生にピアノの練習をしてくるように言われていましたが、面倒に感じて練習できないまま、ピアノ教室へ通っていました。

1曲を完璧に弾けなかったので何度も不合格をもらい、ピアノの先生もイライラしてきたのでしょう。
「姿勢が悪い！」と怒鳴り、少し猫背だった私の背中を叩きました。

軽くではなく、強めに叩かれたので、少し涙目になっていた私。
駄目だった私に比べて、姉は上手にピアノを弾き、先生から合格をもらい、褒められていました。

姉は家でピアノの練習をよくしていたので、良い結果を得ていました。
私も、ピアノの練習を少しずつ頑張るようになりましたが、ピアノの先生に背中を叩かれてから緊張するようになり、本番に弱くなってしまった私はピアノ教室で弾いた時はまた失敗してしまい、今度は先生に手の指をバシッと叩かれました。

私が上手にピアノを弾く事ができていたら先生にも叩かれたり叱られることはなかったと思いますが、小学生だったのでどうしたらよいか分からず、泣いてしまいました。
それを見た先生は、私が少し失敗してもおまけして合格にしてくれたり、優しく教えてくれるようになりました。
そのような経験をしてから、ピアノが全く楽しくなくなりました。

先生から叱られたのは私が原因なのは分かっていましたが、当時はピアノの先生が怖く感じていたため、母に事情を話し、ピアノ教室を辞める事になりました。

これで気持ちが楽になると思っていたのもつかの間、別のピアノの先生が私の家に来てピアノを教えてくれるようになりました。
その時母は、私が大人になってからピアノの先生になって収入を得ていけたらと思っていたようです。

しかし、私はピアノが好きではなくなり、やる気がなくなったので短期間で辞めてしまいました。
大人になった今、その頃の事を思うと、母が働いて得たお給料で月謝を払ってくれていたので、頑張れば良かったと後悔する事があります。

ピアノを弾かなくなって何年も経ったからか、ピアノを弾きたい気持ちがまた湧きあがってきました。

メンテナンスもしていないので、ピアノを売ろうという話も出ていますが、私がまた弾きたいと言って、近々メンテナンスをしてもらう予定です。

祖父はもう亡くなりましたが、祖父が貯金を崩して70万円で買ってくれたピアノを大切に使いたいと思っています。