ピアノの屋根の役割
ピアノというと、四角い形をしたアップライトピアノなどもありますが、多くの方の場合グランドピアノを想像することでしょう。あの独特なフォルムは印象深く、アクセサリや雑貨などのモチーフとしても利用されたりと音楽に親しんでいる方だけでなく愛されているものかと思います。
グランドピアノの屋根は音の調節ができる
モチーフとして使用される場合、多くのものは蓋のようなものが開いた状態で描かれたり作られたりしています。この蓋のようなものは厳密には屋根というのですが、ただデザイン性に富んでいるというだけの理由で付いているわけではありません。
屋根を開けると弦がみえるので、その弦にホコリ等が入るのを防ぐためでは、と思うこともあるかもしれませんがそれだけではないのです。
実はグランドピアノの屋根というのは、音を管理する上で重要なパーツとなっているのです。例えば音が飛ぶ向きです。屋根は右側から開く仕組みになっているのですが、右側を開くことによって音が反射し、右方向へ強く音が飛んで行くのです。
つまり舞台を見た時に演奏者が左側に来るように置いてあげれば客席の方へと音が飛ぶということですね。
また、反射させるだけでなく音量の調節をするときにも一役買ってくれます。屋根を支える棒を指す位置は三箇所ほど変えることができ、それによって屋根の開きを調節することが可能です。
ソロで弾く時には大きな音でも良いですが、バイオリンなどの伴奏をしたり、デュオをする時にはバイオリンの音をかき消してしまわないように半分ほど開くようにしたり、全て閉めて小さな音にしたりといったことができるのです。
アップライトピアノの響きにも関わっている
ちなみにアップライトピアノにはグランドピアノのような屋根はありませんが、少し音が響きづらいなと思ったときには屋根前を開けると響きが良くなります。
それでも物足りない場合には上前板を外してみるとよりよく響きます。上前板とは座った際に目の前に見えている板ですので、楽譜を見ながら演奏したい場合には適さないのですが、必要がなければ試してみるのも良いでしょう。