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ショパンコンクールの図式を変えた、二人のアジア人ピアニスト

ショパン

ピアノはクラシック音楽において最も重要な地位をしめる楽器です。古くはモーツアルトやブラームス、さらにはショパンやラフマニノフなどヨーロッパの高名な作曲家兼ピアニストが数多くの楽曲を作曲し、自ら演奏をしていました。

そのような作曲家が活躍したのがヨーロッパであり、重要なピアニストの多くがロシアを含むヨーロッパ人に占められていました。ピアニストと言えば白人というのが20世紀の常識だったのです。しかしその常識が近年崩れつつあります。アジア人男性ピアニストの台頭によってです。

ショパンコンクールで優勝したアジア人男性ピアニスト

ピアノに関するコンテストは数多くありますが、中でも最も高名なのがショパンコンクールです。ショパンコンクールの名前で知られるフレデリック・ショパン国際ピアノ・コンクールは、ピアノの詩人として知られるショパンを記念した国際ピアノコンクールで、5年に一度、ポーランドの首都ワルシャワで開催されています。

ショパンコンクールでは予選、本選と若手ピアニストたちがショパンの楽曲を演奏しその優劣を競いますが、優秀なピアニストがいなければ優勝者が選出されないこともあるほど厳しい審査が行なわれることで有名です。20世紀におけるショパンコンクールの優勝者はソビエトや東欧、アメリカ出身者で占められており、アジア人が優勝したことはありませんでした。

白人が優勝するのが当然なショパンコンクールの歴史が変わったのは2000年に開催された第14回大会のことです。中国出身のユンディ・リー(李雲迪)が優勝を果たしたのです。非白人のアジア人が優勝を果たしたのは100年近い歴史を誇るショパンコンクールの歴史の中でも初めてのことで、快挙として大きな話題を集めました。

さらに2015年に開催された第17回大会では、韓国出身のチョ・ソンジン(趙成眞)が優勝を果たしました。
二人のアジア人男性が世界最高峰のピアノコンテストで頂点に立ったのです。彼らの活躍によりアジア人が優勝することも特別なことと考えられなくなり、白人が独占していたショパンコンクールの上位入賞者の図式も大きな変化を迎えることとなったのです。

圧倒的な指の動きが特徴のアジア人ピアニスト

ユンディ・リーとチョ・ソンジン、二人の優勝者には大きな共通点がありました。とにかく指の動きが圧倒的で、正確無比で超絶技巧の演奏を披露できるのです。

ショパンコンクールではしばしば審査員たちの意見の対立が見られるのですが、この二人のアジア人ピアニストにおいては意見の対立はありませんでした。予選から一貫して優勝の大本命と見られ、演奏においては1つもミスをすることなく着実に予選を勝ち抜き、本選でも圧倒的な超絶技巧を見せつけ、文句なしの優勝者となったのです。

この二人の優勝により、アジア人ピアニストの持つ潜在力が世界に知られることとなりました。しかしここで残念なのが、未だショパンコンクールに日本人の優勝者がいないことです。日本人ピアニストは中村紘子さんや内田光子さんなど、女性ピアニストが活躍する傾向が大きく、なかなか男性の著名ピアニストは登場していません。

ユンディ・リーやチョ・ソンジンに刺激を受けた日本人男性ピアニストの台頭を、願わずにはいられません。