ピアノのレッスンはピアノが上手になっただけでなく、人生において大切なことをたくさん教えてくれました。
私がピアノを習い始めたのは、3歳の時でした。
母親が「習ってみる?」と言って、私が「うん」と返事したのがきっかけだそうですが、正直まったく覚えていません。
ただ母親が私に勧めたのは、0歳のころから音楽を聞かせると反応がよかったこと、マラカスが持てるようになるとレコードに合わせてリズムをとってご機嫌さんになること、2歳の段階で比較的きちんとした音階で歌を歌っていたこと、たくさんおもちゃがあるにもかかわらず、いつもおもちゃのピアノばかりで遊んでいたことなどから、「この子音楽が好きなのかしら?」と思い、習わせてみようと思ったとのことです。
3歳から18歳までレッスンはつづけましたが、その間先生は4人変わりました。
4人目の先生が一番長く(K先生とします)、小4から高3までレッスンしていただきました。
とても厳しい先生でしたが、ピアノの楽しさ、魅力に気づかせてもらった教室で、さらにピアノのレッスンを通して、生きる上での大切なことをたくさん学びました。
まずは「基礎の大切さ」です。
初めて伺ったとき、すでに私はソナチネレベルを弾いていましたが、「基礎がなっていない、一からやり直し」と、きらきら星のレッスンからスタートしたのです。
指の力が弱くて音にムラがあること、大きな音が出せないこと、よって演奏の表現の幅がとても狭いことがその理由でした。
「ピアノを演奏するというのは、譜面が読めるだけ、譜面通りに指を動かすことじゃないの。」と、表現の大切さを教わりました。
表現をするために、その作曲家のことや作曲家が生きた時代、その曲が作られた背景などを百科事典で地道に調べ、自分なりの解釈をしていきました。
それは今、与えられた課題に対してどう取り組むか、表面だけ見るのではなく背景や多方面からアプローチすることの重要性として、私の中に根付いています。
また復習を大切にする先生でした。
一度○をもらった曲を巣か月後にもう一度レッスンするのです。
「習ったことはできて当たり前。それをさらにどう自分の中に落とし込んでいくか」というのが目的でした。
同時に今までおけいこした曲は全曲弾けて当たり前、というスタンスでした。
つまりは「習ったことをちゃんと身に着ける」ということだったんだなと思います。
さらに人様に教えを乞うとき、また人様にお教えするときの姿勢も学びました。
以前の先生についていけなかった最大の理由は、その時の気分で○をつけられたり、感情的に叱られたりというのは日常茶飯事で、それについていけなくてやめたわけですが、今考えても自分の感情で人様からお金をいただいておけいこつけるのはどうかと思います。
K先生は決してそんなことはありませんでした。
そして、15年間のレッスン生活を通して学んだ最大のことは、「継続は力なり」です。
ドレミのドも知らなかったところから、毎週毎週新しいことを習い、一通り自分で譜面が読めるようになったこと、ちょっとやそっとの練習では弾けなかった箇所も地道に毎日繰り返し練習をすれば必ず弾けるようになること、そしてそれを15年間続けたことで、それなりの曲を弾けるようになったことは、「チャレンジすること、継続すること、それは必ず実を結ぶこと」を私に身をもって教えてくれました。
社会人になった今も、新しいことにチャレンジすることも多々あり、またなかなかクリアできないことも多々あります。
資格試験もその一つでした。
何度も不合格を味わい、「もうやめよう」と思ったこともしばしばありましたが、そんなとき自分の支えになっていたのは、ピアノのレッスンを通して学んだ「継続の大切さ」でし0た。
最後に、今はもう昔のような難しい曲は弾けません。
当然音大に行ったわけでもなく、本当に趣味の一環です。
でもつらいとき、心をリセットしたいときはピアノに向かいます。
家を出て一人暮らしですが、電子ピアノを買いました。
ピアノは人生のパートナーです。